第八章 傷鈴瑠。お前は、俺に幽を出会わせたのか。幽は、お前の生まれ変わりなのか。 俺は、それを信じれない。 第八章 傷 雫は、月を見上げる。 「鈴瑠・・・」 そう、この場所。この隅の一角の、小さな墓、それが鈴瑠の墓。 「アイツは、俺をかばって死んでいった。」 雫はつぶやいてみる。心が、ずきん、と痛んだ。 それが、 雫の心の傷。 モンスターハント時代には、なかった、心の傷。 今はくっきりと、雫の心のおく底に、隠れるようにしてしまってある、 心の古傷。 「鈴瑠・・・」 雫の目から、涙が、一粒、零れ落ちる。 それは、1年前の出来事。 自分が、まだ、「生きて」いたころ。 鈴瑠と雫は、モンスターハントをやっていたころ。 そのころ、巨大なカマキリにとらわれた雫を助けようとして、 死んでいった、鈴瑠。 「た、すけて・・・」 か細い声。 角がくるっとまいてあり、薄黄色の月の光、そんな光を発する小さな手。 「私、バグなの・・・」 そんな声が、聞こえてくるようだった。 ざく、と土を踏む音が聞こえた。 「みつけたぁ!」 幽が、セントミラノス霊園の入り口に立っていた。 そんな幽を、雫は手招きする。 「ちょっと、こい。」 「なによ!そんなこといって、またのっとるつもり?」 雫は苦笑して、幽のほうを向く。 「ちげーよ。話があるんだ。」 「何の話?」 「大事な、大事な話だ。」 幽は雫の横に寄り添うようにして座り込むと、促した。 「ね、話して。」 雫は、自分の思い出を、ポツリ、ポツリと幽に語り始めた・・・ ジャンル別一覧
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